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インターセックスとは?

インターセックスという言葉は、男性または女性の規範的構造に当てはまらない身体を持って生まれた人々や、その生きる経験を表します。

私たち人間のほとんどは生まれた時に男女に分類されますが、多くの場合この分類はその人の外性器の見た目に基づきます。しかし、外性器は数ある性的特徴のひとつに過ぎません。性的特徴には染色体、性腺、性ホルモンなども含まれ、人によって組み合わせは様々です。

身体の様々な性的特徴のバリエーションは VSC(Variations of Sex Characteristics) とも呼ばれます。

私はインターセックス女性で、異性愛者です。

インターセックス男性です。
私のインターセックスの特徴は

12歳頃から現れ始めました。

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私はインターセックスで、

トランスジェンダーでもあります。

バイセクシュアル女性です。
生まれた時にインターセックスだと判明しました。

ジェンダー・アイデンティティはノンバイナリです。
31歳の時に自分がインターセックスだと知りました。

インターセックス当事者のジェンダー・アイデンティティや性的指向は様々で、経験も人によって大きく異なります。

インターセックスの割合

一般的には全人口の1%から2%の間とされており、1.7%という数字が最もよく見られます。「少なくとも1.1%」、「90人に1人」などの表現もあり、2~5%など更に多いとする資料もあります。(参考: IHRAThisIsIntersex by NNID)

現在日本全国で人数が最も多いとされる姓「佐藤」は国内の人口の1.5~1.6%と言われており、インターセックス当事者の割合はこれに近い数字だと考えられます。

​医療との関係

​インターセックスは自然に存在する様々な身体のバリエーションであり、病気や疾患を意味しません。しかし、身体の外観を典型的な男性あるいは女性に近づけることを目的とした、医学的には不必要であるはずの「標準化」治療を強いられてしまう当事者も存在します。このような治療によって却って健康を損なってしまう人も多く、痛み、不妊、尿失禁、感覚の喪失、心的外傷など、中には一生涯に渡って困難を抱えさせられてしまう人もいます。
このような標準化
治療は、本人が意思決定に関与できないほど幼い時期に行われることも多く、また、正確で十分な情報を与えられないまま同意を強いられることもあります。治療や検査を名目として、性的虐待を含む不適切な行為が正当化されることもあります。

医療と情報へのアクセスはすべての人に保証されるべきです。緊急性のない医療行為は本人が理解し意思決定できるようになるまで待つ、正確で十分な情報を開示し本人の選択を尊重するなど、身体的自主権、不可侵権、自己決定権をはじめとした権利の回復が求められています。

(参考: ThisIsIntersex by NNIDIntersex Justice ProjectMalta DeclarationDarlington Statementアジ声明)

​スポーツとの関係

生まれ持った身体の性的特徴を理由として、特定の選手が女性競技から排斥される例は複数あります。しかし、インターセックスの特徴が必ずしも成績の向上に繋がるわけではありません。近年多くの競技で性別検査に使われるテストステロン値は、身長、肺活量、耐乳酸性など成績に影響を与え得るたくさんの要素の中のひとつに過ぎない上、テストステロン値が一般男性の正常とされる範囲を下回る男性トップアスリートが一定の割合で確認されていることなどからも、公平さを保つための基準として疑問視されています。しかし、女性競技への参加の条件として、健康な身体に対して医学的には不必要な手術や投薬により、女性の「基準」を満たすよう求められることもあります。
競技スポーツにおける性別検査は​様々な形で行われてきましたが、これらの検査の背景にはしばしば人種差別および性差別的な側面が指摘されています。性別検査を受けさせられる選手の割合がアフリカやアジア出身の有色人種の選手に偏っていることや、男性競技に参加する男性選手に対しては身体の特徴に基づく排斥がない一方、女性競技では「こうあるべき」とされる女性像から外れる選手が出場停止や失格とされていることが報告されています。

​また、こうした性別検査が極めて侵襲的であり、差別的な規則が人権侵害に繋がっていることなどから、性別検査とそれに関わる規則が問題になっています。

(参考: ThisIsIntersex by NNIDIntersex AsiaIHRAOII EuropeCategory: Woman)

LGBT+との関係

インターセックスとLGBT+との協力関係はLGBTIやLGBTQIA+などの頭字語が示すように随所で見られます。
インターセックス当事者の中にはシスジェンダー、ヘテロセクシュアルもいれば、LGBTQA+のいずれかまたは複数に該当する人もいます。

インターセックス当事者の生きる経験は幅広く、性的指向やジェンダー・アイデンティティに関わらずLGBT+との関わり方や帰属意識も人それぞれ異なります。無理に加えたり排除したりせず、その人の意向を尊重しましょう。
インターセックスとLGBT+では共通する困難や課題が存在することも事実です。そのためLGBT+主導およびインターセックス主導の多くの機関がお互いに連帯し、またLGBTI+主導の組織や連合も
存在しています。

(例: ILGAGATEIrantiOutright International) (参考: ThisIsIntersex by NNIDInterAct)

インターセックス・フラッグ

​黄色地に紫の円のインターセックス・フラッグは、2013年にオーストラリアで誕生しました。黄色は Hermaprodites を示し、紫の円は完全さを示しています。元々はカタツムリなどヒト以外の生物の「両性」を表す言葉である hermaphrodite は、人に対して使われる際は長年蔑称とされてきました。それを当事者が自ら名乗ることによって誇りや自主性と共に当事者たちの手に取り戻そうとしてきた歴史があります。紫の欠けていない完全な円は、当事者たちが修理したり正したりする必要のない完全な存在であることを意味し、数々の人権侵害への抵抗も含まれています。(参考: The Intersex Flag - YouTubeIntersex Flag by Morgan Carpenter)

​また、水色、ピンク、白の3色で知られるトランスジェンダー・フラッグも、真ん中の白はトランジション中やノンバイナリの人だけでなく、インターセックスを含める意図もあったと言われています。インターセックス当事者たちが十分に可視化され当事者同士で集えるようになる前や、未だ当事者同士での交流が難しい場合などでは、しばしばインターセックス当事者もトランスコミュニティに受け入れられてきました。(参考: HuffpostVA News)

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​日本語で公開されている外部文献

日本語で利用できる資料や書籍、動画などをご紹介します。随時追加予定

インターセックス・ファクトシート

出典: 国連Free&Equal、訳: Intersex Asia

アジア・インターセックス・ムーブメント公式声明

​出典: Intersex Asia

その他

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